前々回の記事ではコンピテンシーの概念を深掘りし、卓越した成果を生み出す「根源的特性」としての重要性をお伝えしました。前回は、このコンピテンシーとOKRがどのように響き合い、互いに強化し合うのかについて解説しました。OKRが具体的な行動(Doing)を引き出す土台となる一方で、コンピテンシーはそれらの行動の質を高めるための重要な要素であることをご理解いただけたかと思います。

今回の記事では、WithSTART™の核となる「タレントアクティベーション」のアプローチ、つまり、個人の内面、「Being」の側面に焦点を当てていきます。どのように個人の「才能」を「発芽」させ、「開花」へと導くのか?そして、この「Being」の強化が、いかに具体的な成果(Doing)に結びつくのかを深掘りしていきます。

「Being」と「Doing」:両者が織りなす成長のサイクル

私たちは日々の仕事や挑戦において、具体的な行動や成果、つまり「Doing」に目を向けがちです。OKRの目標達成もまさに「Doing」の典型と言えるでしょう。しかし、DriftThinking™が提供するWithSTART™サービスは、この「Doing」を真に加速させるためには、個人の内面、すなわち「Being」の強化が不可欠であると考えます。

  • Doing(行動・成果): 目標設定(OKR)に基づいた具体的な業務遂行、スキル習得、プロジェクト推進など、目に見える活動やその結果を指します。OKRにおけるKey Results(主要な結果)の達成がこれに当たります。
  • Being(内面・存在): 個人の価値観、信念、動機、感情、思考の癖、自己認識といった、内面的な特性や状態を指します。迷いや不安、孤独といった精神的な側面もここに深く関わります。DriftThinking™が提唱する「心の駆動力」を育むことが「Being」の強化に繋がります。

WithSTART™は、この「Doing」と「Being」を明確に切り分けた上で統合し、徹底していくことを目指します。

なぜなら、「Doing」だけを追求しても、個人の内面が伴っていなければ、持続的な成長や真のパフォーマンス向上は難しいからです。例えば、「本当にこれをやりたいのか不安になる」「自分がどう行動し、チームにどう行動してもらえばいいか分からない」といった内面的な課題は、どれだけ外的に目標を設定しても、行動を鈍らせる要因となります。

「Being」の強化はどのようにすれば実現できるのでしょうか。自分自身を知り、向き合うことこそが重要となります。すべての感情・感覚・思考は自分のなかで生まれるためです。外側で起きるのではないのです。自分に向き合うことで、内側からの駆動力が生まれ、それが「Doing」としての行動に結びつき、結果として成果の最大化につながります。この「Being」の強化を具体的に支援するのが、タレントアクティベーションです。

タレントアクティベーション:才能を「発芽」させ「開花」させる3つのステージ

タレントアクティベーションとは、目標達成と個人をつなぎ、社員一人ひとりが自分自身を知り、向き合うことで、内側からの才能の発芽・開花を支援するプログラムです。外界への不平不満に留まらず、自分事にする。内面からの駆動力を生み出すためのメタ認知を促進することを目指します。

このタレントアクティベーションは、「土壌(深化)」「発芽(資質強化)」「開花(カスタマイズ)」という3つのステージで構成されています。

  1. 土壌(深化):
    • 目的: 自らが成功するために必要な情報を得るステージです。目標達成に向けた思考の基盤を強化し、内面からの駆動力を生み出すための土壌を整えます。
    • 具体的な取り組み:
      • 基礎教育計画: 成功に必要な基礎知識やスキルを習得するための教育計画です。
      • 自律(OJT、社内レポート): OJT(On-the-Job Training)や社内レポートを通じて、実践的な学びと振り返りを行い、自律的な行動を促します。
      • 深化(クリティカルシンキング研修、OKR育成研修、コンピテンシー育成研修): クリティカルシンキング、OKR、コンピテンシーに関する研修を通じて、思考の質を高め、目標達成と行動特性への理解を深めます。
    • 効果: 「本当にこれをやりたいのか不安になる」といった内面的な迷いを解消し、内発的な情熱や素朴な探求心を自覚できるようになります。
  2. 発芽(資質強化):
    • 目的: ひとりひとりの資質・目標を活かして、発揮するステージです。自己理解を深め、自身の内なる駆動力を明確にすることで、具体的な行動に結びつく力を強化します。
    • 具体的な取り組み:
      • 自己理解(DriftThinking™、DriftCoaching™): DriftThinking™やDriftCoaching™を通じて、感情・感覚・思考を一体として捉え、自分自身と深く向き合うことで、心の駆動力を生み出します。これにより、自分の個性やどうありたいかを認識し、自分への解像度を深めます。
      • 相互理解(資質強化): 集合セッションなどを通じて他のメンバーの個性を理解し、協力関係を築くことで、チームとしての資質強化を図ります。
    • 効果: 「自分がどう行動し、チームにどう行動してもらえばいいか分からない」という課題に対し、明確な行動パターンを認識し、主体的に動けるようになります。
  3. 開花(カスタマイズ):
    • 目的: 責任をもって仕事に取り組み、学び、決定を下すステージです。発芽した資質を、個々の目標や特性に合わせて最大限に「開花」させ、実践を通じて成果を創出します。
    • 具体的な取り組み:
      • クラフト(企画参画): 個人の資質を活かした企画への参画を通じて、責任感を持って仕事に取り組み、手作り感を含む”クラフトマンシップ”を通じた実践的な喜びを得ます。
      • カスタマイズ(カスタム研修): 個人のスキルやキャリア目標に合わせた個別最適化されたカスタム研修により、能力を最大限に引き出し、自律的な行動と責任ある意思決定を支援します。
    • 効果: 「タスクをこなす毎日で、引き締まらない、あるいはありたい姿とのギャップが埋められない」といった状態から脱却し、現実・理想の自分を知ることで、自身が整い、行動が整い、「変化する現実を操縦できる」状態へと変化します。

まとめ:「Being」の深化が「Doing」の成果を最大化する

タレントアクティベーションは、個人の内面である「Being」を深く掘り下げ、その才能を「Doing」としての具体的な行動や成果へと結びつけるための強力なフレームワークです。OKRが「何をすべきか」という道筋を示す一方で、タレントアクティベーションは「どのようにあるべきか」という内面の基盤を築き、その道筋を力強く歩むための駆動力を生み出します。

OKRとコンピテンシー、そしてタレントアクティベーションは、それぞれが独立した概念でありながら、WithSTART™のサービスにおいては密接に連携し、個人と組織の持続的な成長と卓越した成果を追求するための不可欠な要素と言えます。

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