「見つめる」「ほどく」「揺れる」「ゆるす」といったプロセスを経て、
私たちの内面には少しずつ柔らかさが生まれてきました。
その柔らかさの先に現れるのが、「自分らしさ」との新しい関係です。
これまで“守るもの”だった自分らしさは、ここから“使うもの”へと変化していきます。
それは、ルールではなく、遊び道具のようなもの。
今回は、そんな「遊ぶ」ような自己とのつきあい方を探っていきます。
「自分らしさ」は守るもの?
私たちは、「自分らしくありたい」と思う一方で、
いつの間にかその“らしさ”に縛られてしまうことがあります。
- 私はこういう人間だから
- 普段なら絶対にこうするから
- これは私のポリシーだから
これらは一見、自己肯定のようでいて、
実は変化を止めてしまう固定観念になっていることもあります。
でも、内面の硬さがゆるんできた今だからこそ、
その“自分らしさ”をもっと自由に試してみる感覚=遊ぶことが可能になります。
「今日は、ちがう自分でもいい」
遊ぶというのは、なにも無責任にふるまうことではありません。
それは、一貫していなくてもいいという余白を自分に許すことです。
- 今日はちょっと静かにしてみようかな
- あえて、普段ならしない方を選んでみる
- 思いきって、気持ちをさらけ出してみる
そんな実験的な態度を、自分との関係のなかに持ち込む。
それが「遊ぶ」ということなのです。
遊びは、自由の感覚を取り戻すこと
「こうしなければ」という思い込みがほどけ、
「こうしてみてもいいかもしれない」という発想が生まれてくる。
その瞬間、自分の感情・思考・感覚は、ふたたび動き出します。
- ちょっとふざけてみる
- 無意味なことをしてみる
- 結果を求めずに動いてみる
そういった行為を通じて、
私たちは、自分という存在の幅や奥行きを取り戻していくのです。
自分らしさを「使い直す」
「私はこういう人だ」と定義づけるのではなく、
「いま、この状況ではこう振る舞ってみよう」と選び直す。
それが、「自分らしさを使い直す」ということです。
つまり、自分という存在を変えずに固定するのではなく、変わりながら生きる感性。
そして、変わることを怖がらずに受け入れられる構え。
この柔らかな自己理解が、
やがて「漂う」という在り方へとつながっていきます。
次回予告:「漂う」へ
次回はいよいよ最終回。
これまでの全ステップを振り返りながら、
「漂うとはどういう状態なのか?」をあらためて見つめていきます。
最初に言葉として聞いた「漂う」が、
あなたの中でどのような感覚として育っているのか。
その余白と豊かさを、静かに確かめる時間をご一緒しましょう。